緩和医療のための予後予測

終末期がん患者の予後予測ツールを少しでも使いやすくする目的で作成しました。カルテをみながらスマホで計算できます。予後予測ツールは医療従事者向けの情報です。結果の解釈には医学的知識が必要です。

予後予測ツール

  • PaP スコア (Palliative Prognosis Score)
  • 医師による予後予測・症状・血液検査を含む6項目で評価。医師による予後予測の得点比率が高く客観性に欠ける。
  • PPI (Palliative Prognostic Index)
  • 日本製。症状や身体所見のみで評価。血液検査が不要。6週および3週の生存を予測する。世界的にもよく使用されている。
  • PiPS-B
  • 病歴や症状のみで評価するPiPS Aモデルと、血液検査を必要とするPiPS Bモデルがあり、14日および56日生存確率を計算する。ただし、PiPS Aの推定値は精度が低く臨床での使用は推奨されていない。一定の診断精度が証明されている。
  • BPS2, 3
  • 日本製。生物学的スコアBiological Prognostic Score(BPS)2版、3版。客観的指標(血液検査)のみから成るBPS2、BPS2より客観的指標の比重は低下するが予測精度が高いBPS3。原著では任意の日数の生存率を計算できるが、ここでは21, 42, 60, 90, 120日の生存率を計算する。
  • OPS
  • 末期がん患者に対する客観的予後スコアObjective Prognostic Score。PPIの浮腫のような主観的因子をなくして、より客観的な7つの因子により3週間の生存を予測する。
  • MELDスコア, MELD-Naスコア
  • 終末期肝疾患の90日死亡率を予測する。どちらも肝硬変および肝移植登録者における肝予備能を血液検査から診断する。MELD Naスコアは、MELDスコアにNaを追加したスコアリングである。
  • ALBIスコア
  • アルブミン値と総ビリルビン値のみで肝細胞癌の肝予備能を評価できる。Grade評価のみでなく、原著のグラフから日本人の平均生存期間と対応させた。
  • 新片桐スコア
  • 転移性骨腫瘍の予後予測。骨転移診療ガイドラインに掲載あり。
  • Objective Prognostic Index for advanced cancer: OPI-AC
  • 血液検査、心拍数、呼吸数をFractional polynomials modelで解析。日本で行われた大規模な研究だが他者の検証もなし。計算式の使用法を知りたい。OPI-AC

予後予測について

予後予測は新たな検査や治療などの医療的介入の選択やケアの方法を検討するときに必要な情報となります。患者・家族にとっても、先々の心構えをするため、個人的な目標や優先順位を設定するために重要です。医療従事者は予後を楽観的に捉えやすく、患者に伝える予後はさらに長めに伝えることが報告されています。そのため、医療従事者の臨床的な予後予測を補完し推定精度を向上させるために、予後予測ツールなど客観的な方法を組み合わせながら判断することが勧められています。

緩和ケアについて

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